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菩薩美容師

執筆者の写真: aya d
aya d
5 日前
読了時間: 2分

私が10年近く通う美容師さん。


彼は、海外ブランドの国内のコレクションショーのヘアメイクでも仕事を任され、第一線で活躍している。


決して驕らず、謙虚で、とても素敵なハートを持っている。


その年上の男性美容師さんから聞いた、先輩とのエピソード。


何十年来の仲の私の美容師さんとその先輩。

普段の関係は良好で、居候していた時期もあったほどの仲だそう。

若い頃、その先輩からよく意地悪をされたらしい。


「明日〇〇持ってきて」

「明日の打ち合わせの場所は〇〇で」

「明日の予定の時間は〇時ね」


〇〇がガセだったという。

 

わざと困らせるような意地悪を毎回されていたらしい。悪戯ではなく、意地悪。意図はわからない


でも、私の美容師さんは、その先輩を嫌いになったり、関係を切ったりしなかった。逃げもしないし、反論もしない、言いつけたりもしない。

淡々と自分なりの解決法を考え、荷物を増やしたり、知恵を使って仕事をこなし続けた。


もう10年以上その先輩と会っていなかったが、先日、関西で海外ブランドのショーのヘアメイクを任された先輩が、チームメンバーとして私の美容師さんに声をかけたらしい。


もう、良いお年の先輩を想像した私は、

「さすがにもうなかったですよね、意地悪」間髪入れずに尋ねた。

「いや、またあってん」(笑)


私の美容師さんは「絶対またやる」と睨んでいたという。

そして準備万端で大量の荷物を持っていき、事なきを得た。先輩の意図はわからない。


ねぇ、菩薩ですか?


もう「若手と怖い先輩」じゃないのよ二人とも。

それぞれ一線で仕事をしている人なのに、関係性が変わっていない。まるでネタかのように。


ねぇ、凄くない? 普通に考えたらあり得ないよね? 

私の美容師さんも凄いけど、先輩も凄い!! 一貫性!!!


先輩のそのしつこく意地悪な一面で、先輩を「嫌な人」として認定していないんです。


そもそも「好き」とか「嫌い」ではないように感じます。


先輩は「先輩」。ただそれだけ。


私の美容師さんは自分の境界線の中で淡々と自分の仕事をし続ける。

それにより、先輩は自分らしく自由にイキイキと意地悪し、仕事をする。


同時に、私の美容師さんの自由度も、可能性も広がっている気がします。


先輩との時間を嫌な体験としてではなく、なんなら少し楽しそうに、ゲーム感覚のように。


モザイク画の1つのピースを見ると、暗い色、地味な色、濁った色に見えるかもしれない。でもそのピースはモザイクの一部で、彼はモザイク画を見ている。


ただ、モザイク画を見ている。


それだけなんです。

 

 
 
 

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